白陵中学校・高等学校では、入学と同時に全員が柔道を学びます。
3学期には、クラス対抗柔道大会。
男女4人ずつが代表として畳に立ちます。
今年、その代表に選ばれたのは、当塾の生徒でした。
彼女は小柄です。
小学生の頃から続けているのはテニス。
コートを軽やかに走る姿のほうが似合う子で、
正直なところ、柔道とは縁のない一生を送るのだろうと、私は思っていました。
お母さまもきっと、
畳の上に立つ娘の姿を少し心配しながら見守っておられたのではないでしょうか。
大会当日。
クラスは惜しくも敗れました。
それでも彼女は、内股で有効を取り、勝ちました。
あとから、少し照れたように言いました。
「練習、楽しかったです。」
大会前には補習があり、何度も何度も投げの練習を重ねたそうです。
私はふと、こんなことを聞きました。
「練習すれば、受け身は痛くなくなるの?」
すると彼女は、間髪入れずに言いました。
「今も、痛いです!」
思わず笑ってしまいました。
でも続けて、
「でも、痛さの種類が変わってきました」と。
ああ、成長とはこういうことなのかもしれない、と感じました。
痛くなくなるのではない。
痛みとの向き合い方が変わる。
それはきっと、勉強も同じです。
入学したばかりの頃。
柔道着を畳むテストで、ほとんどの生徒が不合格だったと聞きました。
もちろん彼女もその一人。
戸惑いながら帯を結び、
ぎこちなく畳を踏んでいたあの頃。
あれから一年。
小さな背中は、確かに強くなっていました。
柔道の先生は紅白帯の保持者だそうです。
「先生の耳は大きくて、特別な形をしている」と、少し誇らしげに話してくれました。
本気で向き合ってきた人のもとで、
本気で向き合う経験をする。
それは、机の上だけでは得られない時間です。
白陵の6年間は、
きっとこうして人を育てていくのだと思います。
できないと思っていたことに挑み、
痛みを知り、
それでも続け、
やがて「楽しかった」と言えるようになる。
そして、こんなことも話してくれました。
今年は、選ばれて少し戸惑いながら畳に立ったけれど、
来年は、自分から選手に立候補するつもりだと。
合格は、始まりにすぎません。
背中を押されて立つ一年から、
自ら手を挙げて立つ一年へ。
畳の上に立つ小さな背中に、
この一年の積み重ねが、静かに宿っていました。
姫路で白陵を目指すご家庭へ。
入学後、どんな痛みと向き合い、
どんな成長を重ねていくのか。
その未来は、
もう、今日の一歩の中にあるのかもしれません。